映画『天のしずく』

ご招待いただいた、映画『天のしずく』の試写会に行ってきました。
天のしずく

「いのちのスープ」で有名な、辰巳芳子さんの、ドキュメンタリー映画です。
「最近の若い人は...」と手厳しいコメントが印象的な方でしたが(笑)、映画を観ると、とてもユーモアがあって、人を褒めるのがお上手で、愛情と慈悲の心をお持ちになった方だなあと思いました。

辰巳さんのご自宅へ、たくさんの生徒さんが習いにくるのですが、辰巳さんご自身の言葉で語られるところが、人を惹き付けるのだと解りました。

例えば、こんなシーン。
辰巳さん:「梅干しお握りって、都合悪いと思いませんか?」
生徒さんたち:一様にどよめきと笑い
辰巳さん:「だって、おかしいでしょ? 悪くなっていくのは周りからなのに、梅干しは真ん中にある。しかも食べたときも都合悪い。周りがあまり味気なくて、いきなり酸っぱい梅干しが出てくるんですから。」
生徒さんたち:笑いながら、うなずく
辰巳さん:「こういうことって、誰も何も言わないけど、世の中にいっぱいあるのよ!」


なーるほど、と私も感心しました。なんでも自分の頭で考えなければいけない。
で、辰巳さん流梅干しお握りは、梅干しを潰して果肉を手に付けて、その手でごはんを握るのだそう。


鍋の中で、お野菜が「気持ちいい」と感じるように、おしゃもじを動かさなくては駄目よ、と辰巳さんは言います。「縦に動かしたら、次は横だろうなと、野菜たちが予測している方向にね。」「私が小さかったころ、母以外の人にもお風呂で体を洗ってもらったの。そのとき「ああ、気持ちいい」と感じるように洗ってくれない人もいたわね、そういう人がくると、嫌だなあ、って思ったの。」なんてエピソードも。

そう言えば、父と昔お風呂に入ると、酒飲みだった父の体から、ふわ〜っとお酒(かな?)の香りがして、好きだったな。久しぶりに一緒にお風呂に入ってみたいな、などど考えてしまいました(笑)。この歳になっておかしいかな?

でも、辰巳さんは、愛情を表現することの大切さを説いているようにも思えます。辰巳さんのお料理の根底には、家族や愛する人への思いやりがあります。お父様の看病から生まれたスープ。そして、新婚3ヶ月の後、サイパン沖で戦死したご主人への愛が、彼女をずっと支えてきたこと。


この映画で、しみじみと、食べることの大切さが、心にしみました。
私も普段から、食事作りをおろそかにはしていないつもりですが、辰巳さんの、丁寧な仕事ぶりを見ていると、ああ、完璧だと思いました。完璧ではなくて、ごく自然で当たり前のことよ!とご本人に怒られそうですが。

辰巳さんのお宅は、鎌倉の山の中にあって、豊かな自然のお庭に囲まれています。映画の中で、辰巳さんの日々の暮らしぶりが伺えるのですが、庭の草木のように、確かな日々を過ごしてらっしゃるのだなあ、と思いました。

また、辰巳さんが信頼する生産者さんたちの実直な姿、日本の食を日本で育てようという考えから始めた、大豆100粒運動の展開。日本人として、共感し、なんだか私ももっと頑張らなくっちゃ!という気にさせられました。


誰に観てもらいたいのか、という問いは、もしかしたらナンセンスかもしれないな、と思います。一人でも多くの人に観てもらいたい。きっと、それぞれの心のどこかに、ずっと残る映画だと思います。だって、食べることは毎日し続けるのですから。



『天のしずく』 河邑厚徳(かわむら あつのり)監督作品
11月3日(祝・土)より 東京都写真美術館ホール ほか 全国劇場ロードショー


公式サイトはこちら
http://tennoshizuku.com/staff-cast/

テーマ : 和風、和物、日本の伝統
ジャンル : 趣味・実用

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プロフィール

nukaman

Author:nukaman
世田谷区在住 おかべなおえ
ぬか漬けの魅力を人から人へ、次世代へと伝える活動『ぬか漬けマラソン』を主宰。各所でぬか漬け講習会を開催しています! 漬け物研究家。
連絡先
nukadukemarason
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